幹細胞治療とリハビリテーションを併用する再生医療

みなさんこんにちは。今回の投稿者は培養士の杉本です。

GW後半は体調を崩してしまい、ほとんど家で寝込んでいました。
インフルエンザにかかってしまったという話もまだちらほらと聞くことがありますのでみなさまもお気をつけください。

今回は再生医療とリハビリテーションについて書きたいと思います。

現在、私たち釧路孝仁会記念病院では脂肪由来間葉系幹細胞を用いた再生医療を実施しております。対象疾患は脳梗塞、脊髄損傷、変形性膝関節症などです。変形性膝関節症については前回の投稿で記載がありますのでこちら(脂肪幹細胞が変形性膝関節症に有効だという話)をご参照ください。

ここでは脳梗塞や脊髄損傷について触れていきます。脳梗塞や脊髄損傷において、幹細胞を用いた再生医療は神経の保護や神経を再生させる働きに期待が持たれています。しかし、運動機能の回復において幹細胞の投与だけではなくリハビリテーションが重要であると考えられています。ここで当院で使用する”脂肪由来間葉系幹細胞”とは異なる”神経幹細胞”を使用した例になりますが、幹細胞投与とリハビリテーションに関する研究のお話を紹介したいと思います。

慶應義塾大学のグループによる研究[1]です。この研究では慢性期重度脊髄損傷モデルマウスに対して、細胞移植+リハビリ併用群、細胞移植単独群、リハビリ単独群、対象群の四群を比較検討しています。移植細胞の生着率についてはリハビリの有無で差はありませんでした。移植単独でも脊髄の伝導性や歩行中枢を活性化させる効果がみられ、リハビリ単独群においても運動コントロールの改善といった効果がみられました。しかし、細胞移植とリハビリを併用した群ではこれらの効果にとどまらず神経細胞へ分化する神経幹細胞の割合の増加、腰部脊髄の歩行中枢で新しい神経線維やシナプスの増加といった神経回路の強化といった相乗的効果がみられたそうです。

あくまでこの研究は”神経幹細胞”を用いた研究の結果ですが、幹細胞を用いた再生医医療においてその効果を最大限に引き出すためにはリハビリテーションが重要であると考えられます。これについては脳梗塞においても同様であると思われます。幹細胞の投与により傷んだ神経細胞が保護された場合、それはもともと機能していたものであり比較的容易に運動機能の回復につながりそうであると想像します。しかし、新しく新生した神経の場合、正しく接続し、機能するためにはリハビリテーションを行うことで”使い慣らす”というようなことが重要なのかと考えます。

先月、「脊髄損傷のリハビリ統一 再生医療との相乗効果期待」[2]という記事を目にしました。より最大限の効果を引き出すためのリハビリテーション法を作っていこうという研究計画が始まるようです。このように再生医療とリハビリテーションの併用は重要であると考えられており、様々な研究が行われております。

当院においても脳梗塞、脊髄損傷については当初より幹細胞投与とリハビリテーションは併用することを基本として取り組んでおります。当院の再生医療にご興味のある方はホームページにある問い合わせフォームまたはお電話にてお問い合わせください。

引用
[1] 慶應義塾大学医学部プレスリリース(2016.8.3)
[2] 脊髄損傷のリハビリ統一 再生医療との相乗効果期待(日本経済新聞 2018.4.6)

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