脊髄損傷の後遺症

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脊髄損傷とは

交通事故や転倒転落事故、スポーツなどで大きな外力が脊椎に加わることで骨折し、関節や靭帯が破壊されることで脱臼してしまうことがあります。比較的外力が軽度で骨や靭帯の損傷のみの「脊椎損傷」の状態であれば骨折や脱臼に対する治療で済みますが、骨折や脱臼が高度でその内部の脊髄までダメージが及んでしまうと、様々な手足の麻痺や感覚障害、排尿排便障害、呼吸障害、血圧調整障害などを生じます。このような状態が「脊髄損傷」と呼ばれます。毎年5000人の脊髄損傷が発生し、国内では推定10万人以上の患者が存在していますが、現状で有用な治療法は確立されておらず、後遺症を軽減するためのリハビリテーションが標準的な治療方法となります。

再生医療への期待

現在、代替の治療方法が無い脊髄損傷においては細胞移植や幹細胞を使った再生医療に大きな期待がよせられており、臨床研究や臨床試験(治験)が国内で進んでいます。札幌医科大学では急性期から亜急性期の患者さんを対象として、ニプロ株式会社と共同開発した再生医療等製品「ステミラック注(一般的名称:ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞)」を用いた脊髄損傷に対する診療を2019年5月より、厚生労働省の条件および期限付き薬事承認を得て、実施しています。また、慶応大学では2021年6月から亜急性期の患者さんを対象としたiPS細胞による脊髄損傷の治療を目的とした臨床研究が行われています。

釧路孝仁会記念病院の脊髄損傷後遺症に対する再生医療

釧路孝仁会記念病院ではこれまでに報告されている臨床研究結果等を根拠として、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいて、患者さんの幹細胞をもちいた脊髄損傷に対する治療計画を厚生労働省に提出して受理されました。

脊髄損傷の後遺症に対する治療は、脂肪由来幹細胞治療ADRCs治療で行われます。

患者さんの脂肪組織は局所麻酔下で、主に皮下脂肪(~10g程度)から採取します。そこから間葉系幹細胞を取り出して、4~6週間かけて数千万個~1億個程度まで増やします。増やした幹細胞は、点滴で経静脈的に全身投与します。投与後は約3週間を目途に、リハビリテーションを集中的に実施して後遺症の軽減を目指します。
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