脊髄損傷の後遺症

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脊髄損傷とは

脊髄損傷は、交通事故やスポーツ中の事故等主に外傷によって引き起こされる重篤な疾患です。脊髄のうち受傷する部位や受傷の程度により症状は大きく異なりますが、例えば脊髄のうち首の部分に相当する頸髄を損傷すれば、四肢麻痺を引き起こし、社会生活が困難な状況が生涯継続することになります。毎年5000人の脊髄損傷が発生し、国内では推定10万人以上の患者が存在していますが、現状で有用な治療法は確立されておらず、後遺症を軽減するためのリハビリテーションが標準的な治療方法となります。

再生医療への期待

現在、代替の治療方法が無い脊髄損傷においては細胞移植や幹細胞を使った再生医療に大きな期待がよせられており、臨床研究や臨床試験(治験)が国内で進んでいます。札幌医科大学では急性期から亜急性期の患者さんを対象として骨髄由来の間葉系幹細胞の全身投与による治験(第II相試験)が進んでおり、国の先駆け審査指定制度の指定を受けて早期の実用化に向けた開発が進められています。また、大阪大学では世界で唯一慢性期の脊髄損傷を対象として鼻腔の奥にある嗅粘膜を移植する臨床研究が先進医療Bに指定されて進められており、良い結果が得られつつあるようです。ただし脳梗塞と同様それらの臨床試験が終了し、国に申請して医薬品として患者さんの治療に使えるようになるにはまだ年単位の時間が必要だと考えられます。また保険が適用になったとしても保険を使用して治療するには様々な条件が付与され、使うことのできる患者さんが限られることも予想されます。

釧路孝仁会記念病院の脊髄損傷後遺症に対する再生医療

釧路孝仁会記念病院ではこれまでに報告されている臨床研究結果等を根拠として、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいて、患者さんの幹細胞をもちいた脊髄損傷に対する治療計画を厚生労働省に提出して受理されました。

脊髄損傷の後遺症に対する治療は、脂肪由来幹細胞治療で行われます。

患者さんの脂肪組織は局所麻酔下で、主に皮下脂肪(~10g程度)から採取します。そこから間葉系幹細胞を取り出して培養し、数千万個~1億個程度まで増やします。増やした幹細胞は、点滴で経静脈的に全身投与を行います。投与後は約6カ月間を目途に、リハビリテーションを集中的に実施して後遺症の軽減を目指します。治療の流れはこちら

 参考 

先駆け審査指定制度について

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/topics/tp150514-01.html

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