変形性膝関節症の症例1

片膝の変形性膝関節症で症状の改善が認められた一例

患者様の情報

患者さん                :50代 / 男性

治療法                      :脂肪由来幹細胞(培養)の関節内投与

治療までの経緯

外傷が原因で右膝に痛みが出現されていました。整形外科を受診されて、MRIの所見から右の大腿骨内顆(注1)部に骨軟骨病変ありと診断されました。当院の医師から再生医療の情報提供があり、治療を行うことになりました。

治療内容と経過

関節鏡検査の結果、軟骨損傷レベルがOuterbridge分類(注2)のグレード4であったことから、損傷して剥離しかかっていた大腿骨内顆部の軟骨片の一部を除去した後にマイクロフラクチャー術(注3)を行って、その後関節内に培養した脂肪由来間葉系幹細胞を局所投与しました。

投与から3カ月後の結果では各種評価項目で改善が認められました。まず変形性膝関節症患者機能評価尺度:JKOM(注4)の評価では幹細胞の投与前が69点であったのに対し、投与後は29点と改善傾向がみられました。また、膝の痛みのVisual Analogue Scale:VAS(注5)評価では、投与前が25mmであったのに対し、投与後は0mmと疼痛は消失していました。さらに関節鏡検査の結果では病変部が新規の軟骨様組織で被覆されている様子が認められました。軟骨損傷の分類では、大腿骨内果ではグレード 4から2へ改善し、脛骨内果(注6)はグレード2から変化はありませんでした。

knee_b      knee_a

(投与前)           (投与後)

関節鏡検査の幹細胞投与の前後比較

大腿骨内果の軟骨損傷の分類では投与前がグレード 4だったが、投与後3カ月の段階でグレード 2に改善されていた。

 治療効果には個人差があります

【用語解説】

(注1)大腿骨内顆…膝関節を構成する太ももの骨は膝関節で内側と外側の二つに分かれますが、その内側の部分のことを大腿骨内顆と呼びます。

(注2)Outerbridge分類…関節鏡所見による軟骨損傷の分類。グレート1:関節軟骨の軟化を認める。グレード2:軟骨表面の羽毛立ち、浅い亀裂を認める。グレード3:軟骨下骨の深さまでの軟骨損傷があるが軟骨下骨の露出は認められない。グレード4:軟骨下骨の露出を認める。

(注3)マイクロフラクチャー術…軟骨様組織による被覆を期待して、損傷部分(欠損部分)に専用の針で穴を開け、骨髄から出血させる治療。

(注4)変形性膝関節症患者機能評価尺度:JKOM…変形性膝関節症に対するQOL評価尺度として開発された評価手法

(注5)Visual Analogue Scale:VAS…最も広く用いられている痛みの評価法で、長さ10cmの黒い線(左端が「痛みなし」、右端が「想像できる最高の痛み」)上で、現在の痛みがどの程度かを指し示し左端からの長さをmmであらわす。

(注6)脛骨内果…膝関節を構成するすねの骨は膝関節で内側と外側の二つに分かれますが、その内側の部分のことを脛骨内顆と呼ぶ。

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