病気のはなし―13

 みなさんこんにちは、脳神経内科の柏木と申します。今回は認知症のお話しをさせていただきます。

 認知症は多くの原因がかかわって症状を形成する疾患群です。

 認知症にはもとにもどらない、不可逆的な疾患による脳細胞の変性によるものや、脳血管障害による脳細胞の傷害に由来するものがあります。一方で、治療可能な認知症性疾患も多く見られます。「外傷(頭部外傷後に多く生じる慢性硬膜下血腫)や内科的疾患(甲状腺機能低下症、血清ナトリウムやカルシウムなどの電解質に異常がある場合)を基本として生じる認知症様状態」や「歩行障害、尿失禁などが認知症状と合併して生じる正常圧水頭症など」が例として挙げられます。

 こうした治療可能な認知症を、トシのせいにして見過ごされている方を掘り起こすことを目的の一つとしているものが「もの忘れ外来」です。
 不可逆的な認知症の代表例であるアルツハイマー型認知症は、発症の15~20年前からアミロイドβなどの蓄積が徐々にみられ、脳神経細胞の変性・脱落をきたすようになり、記憶障害(少し前のことを忘れてしまう)、見当識障害(日付や曜日、時間を忘れてしまう)、遂行機能障害(手の込んだ食事を作れなくなる、仕事の手順を忘れてしまう)などが見られます。

 近年では、早期であれば治療薬により若干でも病勢を遅くすることが可能となってきました。患者様やご家族が、やがて進行する認知症へ対応ができるよう、早期の段階から何ができるかを私達と一緒に考え行動していただきたいと思います。

 次回以降は個々の認知症疾患のお話しをさせていただきます。

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