病気のはなし-1

みなさんこんにちは。

脳神経外科の伊林です。今回は、がんの脳転移(転移性脳腫瘍)についてお話させていただきます。

日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなるという時代になりました。がん患者の20~25%は脳に転移をおこすと言われています。従って脳転移の頻度を20%とすると、日本人の10人に1人は転移性脳腫瘍を発症することになります。

転移性脳腫瘍の原発巣では肺がんが45.6%、乳がんが12.8%の頻度と言われています。また先日、厚生労働省から報告された、2016年に診断されたがんの部位別患者数は、肺が12万5000人、乳房が9万6000人でした。

転移性脳腫瘍の治療では小さなものは腫瘍にのみガンマ線などを照射することが可能です。また抗がん剤治療が有効な場合もあります。しかし大きさが直径2.5~3cmを超えますと、手術が必要になる場合が多いと思われます。

頭痛、吐気・嘔吐、目がかすむ、片方の手足・顔半分の麻痺やしびれ、力はあるがうまく歩けない、視野がかける、言葉がうまくでてこない、他人の言うことが理解できない、けいれんなどの症状がある場合は、一度MRI検査を受けることをお勧めします。

当院ではなるべく受診当日にMRI検査を受けられるように配慮していますが、電話での予約時にMRI検査希望と伝えていただくと確実です。

伊林 至洋(いばやし・ゆきひろ)先生のプロフィール
【学歴】  1981年3月 札幌医科大学医学部 卒業
【職歴】  1981年4月 札幌医科大学医学部 脳神経外科 入局
     1985年3月 札幌医科大学医学部 大学院 卒業
      1985年4月 Department of Surgical Oncology,UCLA,U.S.A留学
      1987年4月 札幌医科大学脳神経外科 助手
      1991年7月 札幌医科大学脳神経外科 講師
      2000年3月 国立札幌病院(現 北海道がんセンター)脳神経外科医長
      2009年4月 厚生労働省北海道厚生局 健康福祉部医事課 臨床研修審査専門官(併任)
      2012年4月 札幌医科大学 臨床准教授
      2018年4月 札幌西孝仁会クリニック 脳神経外科 部長
【専門医】 日本脳神経外科学会専門医・評議員
     日本脳卒中学会専門医
     医学博士

 

 

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